―― 畑辺選手、本日はよろしくお願いいたします!
さっそくですが、ビーチバレーって年間どれくらいの費用がかかるのでしょうか。
畑辺純希(以下、畑辺) 国内大会を回るのに、だいたい年間50万〜80万円くらいかかります。
国内大会と言っても開催される試合数が毎年変わるので、それによって費用のばらつきはありますね。ツアーは7大会から、多い時で11大会。これも場所によって様々です。
家から近いところだと1万円程度で済みますが、遠方になると8万円ちょっとかかるかな。
ただ、必ずしも距離が遠いから高くなるという訳でもなく、会場までのアクセスのしやすさによって金額が異なります。例えば福井なんかは、新幹線に加えて現地でレンタカーを借りなければいけなかったり。
―― なるほど、なるほど。関東なんかは近場でも会場まで行きにくいところってありますもんね。それでも選手たちは、ほぼ全ての大会を回るんですか?
畑辺 基本全部回ります。ビーチバレーは各大会で獲得したポイントによって、ワールドツアーの出場が決まるので、若干ややこしい出場権ルールなんですよね。また、そのルール自体も毎年ちょこちょこ変更があり現在は過去1年間に参加したワールドツアーの直近の6大会のうちの成績の良いポイント4大会の合計ポイントがエントリーに反映される形になっています。大会に出れば出るほどポイントも増えていくのですが、勝敗によってはそれが逆効果になる場合も。
―― なんだかややこしいシステムですね。(汗) ポイント獲得のために出場しても、負けたらマイナスになるケースもあるという事か・・・。
畑辺 たくさん出場した上で勝ち続けるっていうのが勿論ベストなんですが、最終的な獲得ポイントのことを考慮すると出場する大会のレベルやタイミングなど、その選択もひとつのかけ引き、鍵になってきます。
あとは、大きな大会でもあまり人気のない国(中国やインド)なんかはポイントが獲りやすい。というのも、移動時間の長さや現地で食事や水が合わず体調不良になるケースが多く、世界の強豪チームも出場してこなかったりするので優勝を狙いやすいです。逆に、観光地としても有名で競技が盛んなヨーロッパの大会に出ると予選落ちなんてこともあります。
―― 大会選びも大変ですね。海外の大会のお話しが出ましたが、どのあたりに行くことが多いんでしょう?
畑辺 そうですね。海外遠征は1回あたり最低でも15万円くらいかかってしまうので、金銭面を考慮して近場で暖かいアジア圏が多いかな。本場はブラジルとアメリカと言われていて両方とも強豪国なんですが、なかなか頻繁には行けないですね。また、一年中気候が整っているロスも人気の遠征地のひとつです。
―― 屋外のスポーツは気候も重要ですよね。ちなみに他の競技の選手たちが海外に行く際は、自分でリーズナブルな宿を探したり、知り合いの家に泊めてもらうケースが多いようですが、ビーチバレーも毎回そんな感じですか?
畑辺 僕の場合は遠征先は開催国の協会が指定するホテルに滞在することが多かったですね。それ故に、貴重な体験ができるような場所もあり・・・(笑)
―― なになに、気になる!
畑辺 以前行ったブラジル遠征の合宿先が軍隊の人たちとの共同生活で、現場の人と同じものを食べるんですけど、時にサラダの半分が腐っていたり、何気なく隣に置かれた荷物が銃だったり。
衝撃だらけでしたね。もちろんそこで寝泊まりも。
―― え〜!!日本ではありえない衝撃の合宿ですね。何故そんなところに!?
畑辺 ・・・そこにビーチコートがあるから。
―― いや、名言みたいに言われてもww
畑辺 まあでも確かに、その場所はリオの中でもすごく良い立地でコートも4面設営されている上、大会運営もそこの人たちがやっているので、ブラジルの代表クラスの選手たちも頻繁にそこを利用していましたね。
―― 今までインタビューした中で最も変わった遠征事情・・・貴重なお話有難いです。遠征の他に費用がかかる部分はありますか?
畑辺 あとはコーチ代かな。遠征に専属コーチも帯同してもらう場合は、その分の移動費や宿泊費がかかります。ペアでお願いしているチームもあれば個人契約の人もいます。また所属先がその費用を払ってくれるかどうかも交渉次第という感じですかね。
僕の場合は所属先からそこの部分は許可が下りず自己負担でした。ただ、強化指定選手でいる場合は、協会の強化指定の練習に参加すればコーチがいるっていう環境でしたね。
それから、ビーチスポーツなので海での練習には基本的に費用はかかりませんが、強化指定場所にも選ばれている川崎マリエンのビーチコート等を使う場合は施設利用料を払わなければいけません。それもランキング30位内に入っているかどうか等の基準で決まります。
僕は今、有料ですね。
―― なんと!畑辺選手なんか顔パスで行けそうなのに。
畑辺 一緒に施設を利用する人の中にトップ選手がいれば無料で練習できますけどね。
―― ビーチバレーも内部にしか分からない事情がたくさんあるんですね。
